家族会・救う会の新運動方針と米朝首脳会談-東京連続集会報告
◆一人ひとりに人生があった
西岡 力(救う会会長、モラロジー研究所教授)
過去に私たちはそういう問題意識で、この東京連続集会でそれぞれの人の思い出を語ってもらうテーマで全員のことをやりました。それを写真パネルにしたら、拉致問題対策本部がいいと言って、政府の拉致問題対策本部が入っているビルの1階に拉致のコーナーがあるんですが、我々が作ったパネルをそこに飾っていただいています。使用料はとっていませんが。
それぞれの家族が、それぞれの被害者の思い出を語っているものがあるんですが、年度など修正して新しいものを作れないかということも考えています。そういうものを作って、それぞれの家族、それぞれの被害者の思い出をみんなで共有しよう、と。
例えば松木薫さんについては、私も知らなかったのですが、斉藤文代さんから聞いたのですが婚約者がいたんだそうです。松木さんはスペイン語を勉強して、薫さんはよくできるから長崎外国語大学の教授が自分の後継者として採用したい、と。そのためには1年くらいスペインに行って、現地で語学の勉強をしてきてほしいと指導教官に言われたそうです。
お父さんは反対した。手元に置いておきたい。その時既に婚約者がいて、彼女は「行ってきて。待っている」と。それが突然連絡が取れなくなった。それでもずっと待っていてくれた。でも何回か周りからお見合いをしてと言われた。「私はどうしたらいいんでしょうか」という話を斉藤さんのところにしてきた。
「あなたの気持ちは分かったけど、もうお見合いをしてください」と言って、今は結婚して幸せに暮らしている。「でも帰ってきたら是非会わせてください」とのことで、「会わせるからね」と約束しているそうです。そういう話がこのパンフには出ているんです。
だから松木さんが拉致されなければ、大学の先生になって、その婚約者と結婚して、というような生活があったわけです。そういうものを奪われたというのが拉致なんです。
ただ「拉致」という言葉だけでは、国際政治で核問題がどうしたとか、ボルトンがどう言ったとか、トランプがどうしたとなります。それも大切ではありますが、人生を奪われた一人ひとりに人生があったわけです。
アニメ「めぐみ」のいいところは、拉致される前のめぐみさんの様子がよく分かるからこそ、ひどいことだと思うわけですが、めぐみさんだけではなくて、一人ひとりに人生があったということを我々は知って、日本中の人々に伝えていく必要があるのではないかと思って、3つ目の重点項目に入れました。