家族会・救う会の新運動方針と米朝首脳会談-東京連続集会報告
◆死亡の証拠がない以上、生存を前提に助ける
西岡 力(救う会会長、モラロジー研究所教授)
二山あるわけです。米朝が一定程度進んで日本に向かってくる。次に全員を返すという決断を金正恩氏がするのかどうか。後半の部分について言うと、日本人がもっと知らなくてはいけないのは、日本政府の基本的立場です。
日本政府は、北朝鮮が「8人死亡」と言っているが、だれについても死亡の証拠はない。めぐみさんの遺骨だけが偽物だったわけではないのです。8人の誰についても死亡の証拠がないから、全被害者の生存を前提にして、認定の有無に関わらず全員助けると言っているんです。
これは我々の方針ではなく、日本政府の方針なんです。そして日本政府がパンフレットを作っています。それをもっと、もっとみんなに知らせるべきだと思います。生きてるか、死んでるか分からないというのが日本政府の立場じゃない。
北朝鮮が出してきた死亡の証拠が全部でたらめだった。従って、死亡の証拠がない以上、生存を前提に助けるというのが日本政府の立場です。また「4人未入境」と言っているけどそんなことはない。絶対拉致されているというのが日本政府の立場で、それもこの白いパンフレットに書いてありますし、それ以外のひともいる可能性があると書いてあります。
日本人はこの立場に立って北朝鮮と向き合わなければならない。一部の人たちのように、「日本が正しいか北朝鮮が正しいかよく分からないので合同調査委員会を作って調査したらいい」と公然と言う人が最近出てきています。元外務省局長とかです。
そういう人が国会議員会館まで現れて、国会議員の前でそういう話をしている。だから日本政府の基本的立場を我々は知っておくべきです。日本と北朝鮮が対立していて、我々が中間にいるのではない。日本政府と同じ側にいるんだ、と。
家族会も日本政府と同じ立場にいて、死亡の証拠がない以上全被害者を生存を前提に助けてくれと言っています。新たな死亡の証拠を出してくれとは言っていない。
安倍総理も、めぐみさんの「遺骨」と称するものが偽物と分かった直後に、「これからは死亡の証拠を出せといったら危険だ。生きている人の腕を1本切って、本物のDNAを出してくる危険性がある」と。その時は総理じゃなかったからもう少し発言の自由があったかもしれませんが、そういう発言をされています。
今そこまで北に対して刺激的なことを言うかどうかは別ですが、そういうことを思っていらっしゃるのは間違いないと。そういうことでも、死亡の証拠を出せというのは危険です。
出すんだったら2002年に出せばよかったんです。そういう客観的な証拠があれば我々も、「じゃあいつ殺したんだ」ということになりますが、「生きている」と言い張ることはできなかったわけです。
彼らは日本や国際社会に対して説明することに失敗したんです。「8人死んだ」と言いながら誰一人死亡の証拠を出すことができなかったということをもっとみんなに知らせて、その水準に立って日朝首脳会談をしてほしい。総理はそうすると思いますが、その総理の姿勢を我々がサポートする態勢を作らなくてはいけない。それが4つ目の重点項目です。その他国際連携を色々やろう等ということは今まで通りです。