全拉致被害者の即時一括帰国を実現せよ!国民大集会報告
◆条件を付けず金正恩委員長と直接向き合う
安倍晋三(内閣総理大臣、拉致問題対策本部長)
国民大集会の開催に当たり、総理大臣として一言、ご挨拶を申し上げます。
今回、拉致問題の解決を求める1300万筆を超える署名が私の左手に今展示されております。先ほどご紹介された通りでございます。本年は、家族会が結成されてから22年となります。ご家族そして関係者の皆様が、この22年という長い年月をかけて全国各地で集められた思いが積み重なり、この1300万筆もの署名に至ったわけでございます。これはそう簡単なことではなかったと思います。雨の日もあれば風の日もあった。そして必ずしも当時はまだ十分な理解もない中でなんとか、子どもたちを、家族を取り戻したい、というご家族の思いでこれだけの署名を積み重ねることができたわけです。改めて政府として重く受け止めたいと思います。
2002年に5名の拉致被害者の方々が帰国されて以来16年以上もの間、1人の拉致被害者の帰国も実現できていません。拉致問題に当初から取り組んできた政治家の1人として、また日朝首脳会談に官房副長官として同席した者として痛恨の極みであります。
ご家族もご高齢となる中、拉致問題の解決には米国を始めとする国際社会と緊密に連携していくことが重要です。先月米国を訪問し、トランプ大統領から2回目の米朝首脳会談についてより詳しい説明を伺いました。
大統領は非常に真剣な顔つきで身を乗り出し、会談の雰囲気や金正恩委員長がどのような様子で話していたかを語ってくれました。大統領は、一番重要な初日の最初に行った一対一、いわゆるテタテ(差し向かい)の会談の場で貴重な時間を割いて金委員長に対し、拉致問題に関しての私の考え方を明確に伝えたとの説明がございました。
テタテの会談というのは、いわゆる一対一、通訳のみで行う会談で、機微な問題を扱う最も国益の懸かった重要な問題を扱う際に活用する重要な場であり、米国が拉致問題を非常に重視していることを金正恩委員長も理解したと思います。その後の少人数の夕食会でも拉致問題を提起し、首脳間で真剣な議論が行われた次第であります。このことは大変有意義であったと認識しています。
私とトランプ大統領との間では、引き続き拉致問題の早期解決に向けて緊密に連携していくことを確認し、大統領からは「今後も全面的に協力する」という力強い言葉がありました。来週にはトランプ大統領が国賓として来日します。今回の来日でも拉致被害者ご家族の皆様とお会いいただく予定で、改めてご家族の皆様の切なる思いを直接大統領に伝えていただきたいと思います。
その上で拉致問題の解決に向けては、わが国自身が主体的に取り組んでいかなければなりません。日朝間における相互不信の殻を打ち破るためには、私自身が金委員長と直接向き合わなければならないとの決意です。条件を付けずに金正恩委員長と会って、直接に、率直に、虚心坦懐に話をしたいと考えています。
拉致問題は安倍内閣の最重要課題です。本日この集会に先立ち、拉致被害者ご家族の皆様と昼食を共にしながら、改めてお話をする機会を設けました。皆様から本当に切実な思いを伺うことができました。残念ながら今日は、代表の飯塚さんも、体調のため出席することができませんし、早紀江さんのご主人の滋さんも今、病に伏せっておられます。有本さんの奥様もそうであります。なんとかお元気なときに、しっかりと自らの手で抱きしめることができる日がやって来るまで、私の使命は終わらない。その思いを改めて強くしたところでございます。
確かにこの問題というのは今日まで解決できなかった問題であり、そう簡単なことではありませんし、まだ残念ながら日朝首脳会談が行われるということについては、めども立っていないのは事実でございます。しかし大切なことは、拉致問題の解決のために日本国民が一致団結して、全ての拉致被害者の一日も早い帰国の実現への強い意志を示していくことが大切であります。その声こそが国際社会を動かし、そして北朝鮮を動かしていくことにつながっていくと思います。
私もまた皆様と心を一つにしながら、拉致問題解決に向けてあらゆるチャンスを逃さず、果断に行動していくことをお誓い申し上げまして、私のご挨拶とさせていただきたいと思います。皆様一緒に頑張ってまいりましょう。ありがとうございました(拍手)。
櫻井 総理、ありがとうございました。総理はここで退席されます。どうぞ拍手でお送りください(拍手)。
皆さん、拉致問題の解決は容易なことではありません。こちらがいくら頑張っても、相手があることです。しかも、おそらく世界一難しい相手です。今日本国政府は、安倍総理も、菅官房長官も、おそらくどの政権よりも本当に心をこめて一生懸命この問題の解決に取り組んでいます。
総理がおっしゃったように、国民みんなが心を一つにして家族を支え、被害者のことを考えることが大事な局面です。どうぞそのことを胸に、今日のゲストの皆さん方のお話を聞いていただきたいと思います。
さてここで、拉致問題担当大臣でもあられる官房長官の菅義偉様にお願いいたします(拍手)。