救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

訪米報告と米大統領面会報告、最新情勢報告-東京連続集会106



◆プルトニウム原子炉を止めてみせ、濃縮ウランを作っていた北朝鮮

西岡力(救う会会長)
 そのことをこれからお話したいのですが、そのことを考えるために比較をしたいと思います。
 私はこれまで、拉致問題のチャンスは過去に2回あった、3回目は必ず来ると言ってきました。1回目は金丸訪朝(1990年)以降、クリントン政権が第一次核危機で爆撃を考えるということになった時に、金日成・カーターの会談があり、ジュネーブ合意ができた。北朝鮮がプルトニウムを作る原子炉を止めたんです。国際的な圧力の結果、大きな譲歩があった時です。
 2回目は2002年の小泉訪朝の時です。その時と今とどう共通して、どう違っているのか。
 私は拉致問題解決のためには、北朝鮮が追い込まれて話し合いに出ざるを得なくなる状況を作ること、そして日本政府がすべての被害者を取り戻す体制になっていることです。その2つが必要だとずっと言ってきました。
 1回目のチャンス、金丸訪朝と第一次核危機の時は、今と同じように、核問題でアメリカが北朝鮮に強い圧力をかけた。その時北朝鮮は日本に接近してきたわけです。しかし、金丸訪朝では拉致問題は議題にもならなかった。
 では日本政府は日本人が拉致されていることを知らなかったのか。金丸訪朝の2年前に梶山(静六)答弁があったわけです。国会で、国家公安委員長が、「北朝鮮による拉致の疑いが十分濃厚」と言ったのに、与党と野党の最高幹部が北朝鮮のトップに会って、拉致問題を議題にしなかった。
 曽我ひとみさんは北朝鮮で、金丸さんたちが来たことをテレビで見ていた。「白旗を挙げて来た」と言っていたそうですが、その時心の中で、「日本の政治家が来てくれたのだから私のことが議題になっているのではないかと思った」と。多分、横田めぐみさんも有本恵子さんも、みんな同じだったと思います。
 その時チャンスがあったのに、こちらが議題にしなかった。世論がなければ日本政府は動かないんだということで、運動をしようというのが我々の動機でした。
 その時アメリカは核を優先したわけです。アメリカは爆撃の準備もしていたんですが、かなり大きな被害が出るだろうというシミュレーションもあり、金泳山大統領が今の文在寅大統領と同じように、「自分が了承しないのにアメリカは戦争をすることができない。俺は反対だ」と公然と言っていたわけです。
 そういう中で、日本から多額のお金が北朝鮮に行っていた。朝鮮総連の資金ですが、年間1800億円から2000億円です。当時まだ救う会はなく、現代コリア研究所として問題提起をしました。警察も税務署も動いて、お金を止める動きをみせた。
 そしてアメリカが爆撃の準備をした。外貨源を断つということと、軍事的圧力がかかったら金日成が出てきた。1986年に臨界に達していて、その後プルトニウムを作り始めていました。
 冷戦が終わったから北朝鮮は核開発を始めたのではない。86年には臨界に達していたんです。その前からプルトニウムを作っていたんです。自衛のためではなく、韓国を赤化することが主たる目的ですが、とにかくせっかく作っていたものを止めたんです。
 原子炉を止めるから爆撃は待ってくれと言って、話し合いがついた。その時拉致はどういう扱いだったか。何も動かなかった。北朝鮮をせっかく追い込んだのに、アメリカが核で追い込んだ時に、日本が問題提起をしなかったから拉致問題は取引きの中に入らなかった。しかし、日本に接近してきた。
 北朝鮮はただでは譲歩しないんです。圧力をかけられれば譲歩しますが、その代り見返りを要求します。その見返りは、KEDOというものを作って、ただで原爆を作りにくい原子力発電所を作った。
 軽水炉というものですが、それに45億ドルかかる。韓国に30億ドル出せと言ったら韓国は出すと。日本に10億ドル出せと言ったら、当時の村山政権は出すと言った。あと5億ドルはEUなどが出した。アメリカは出さない。
 今回アメリカで確認したんですが、全体主義政権に対してはアメリカは大規模な支援は出せないんです。予算を決める権限は議会が持っている。日本では予算案は政府が国会に提出しますが、アメリカではそうではなく、予算は議員に頼んで出してもらう。そういうこともあって、当時のクリントン政権も自分でまとめたのにお金は出せなかった。
 それで日本に請求書が来たわけですが、10億ドル出すと言って、実際は5億ドル出した。しかし、その時の条件に拉致問題は入っていなかった。
 そして北朝鮮は、プルトニウムを作る原子炉は止めていたのですが、そして軽水炉の工事が進んでいたんですが、北朝鮮はもう一つの原爆の材料である濃縮ウラニウムを作っていた。北朝鮮にはウラニウム鉱山があり豊富な埋蔵量があります。
 そのウラニウムを濃縮する技術を北朝鮮は持っていなかったのですが、パキスタンからそれを導入した。アメリカと合意して核開発凍結、代わりに軽水炉を作らせるということをやりながら、裏で濃縮ウラニウムを作っていた。
 濃縮ウラニウムを作るには原子炉はいらないんです。遠心分離機を回せばいい。電気さえあればできますから、地下でできるわけです。ですから核についても実はだまされていたんです。
 日本にとっては、そのだまされていた合意に拉致は入っていない。しかし、お金の請求書は来た。そういう関係でした。



  
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