救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

第31回「ブリンケン国務長官への書簡伝達、バイデン政権へ何を求めたのか」



 みなさんごきげんよう。救う会テレビ、救う会全国協議会会長西岡力です。今日で第31回になります。令和3年3月20日に収録しました。
 今日のタイトルは、「ブリンケン国務長官への書簡伝達、バイデン政権へ何を求めたのか」と題してお送りいたします。
 マスコミでも報道されましたけれども、3月15日にですね、横田拓也家族会事務局長そして早紀江さん、それから私の3人が駐日アメリカ大使館を訪問しました。
 これ(写真)はですね大使館の裏の大使公邸ですね。コロナ対策もあってですね、「建物なんかじゃなくて屋外で会いましょう」ということになって、今手を述べて下さって下さってる方、大使は、入口のところまでお迎えに出てくださって、庭に案内してくださいました。
 いい天気で、芝生が綺麗で、こうやってコーヒーを準備していてくださってですね、大使が最初に歓迎の挨拶をしてくださいました。あのヤング臨時大使とは早紀江さん拓也さんは、去年の9月にトランプ大統領が滋さんのお悔やみの手紙をくださったので、そのお礼に大使館を訪問して、大使がお会いしてくださって、その時に拉致問題について真剣に話を聞いてくださったという関係だったのですね。
「またお会いできました嬉しいです」という会話でした。そして家族会・救う会の名義の書簡をこのように渡しました。私と早紀江さんと拓也さんがいます。でもう一度こういうふうに座りまして、まず早紀江さんが、「もう43年経つ。娘を返してほしいだけなんだ」という想いを伝えて、「ぜひ国務長官がいらっしゃるんで国務長官にこのまま伝えてほしい」と。
拓也さんと私、それから外務省からは船越アジア局長が同席してくださり、また拉致対策本部の石川事務局長も同席してくださいました。

◆ブリンケン米国務長官への書簡

 渡した書簡はこういうもの(3/15のメール参照)で、英語で作りました。その日のですね、15日の夕方から夜にかけて国務長官と国防長官が日本に来て、そして16日に「2プラス2」と言うのですけれども、国務長官と国防長官、そして日本は外務大臣と防衛大臣の2対2の会議が開かれました。
 それが終わった後記者会見が開かれたのですが、その時ですね、ブリンケン米国務長官、それからオースティン米国防長官、茂木外務大臣、岸防衛大臣が4人で記者会見をされたのですが、皆さん胸にブルーリボンバッチをしてくださっていたのが大変印象的でした。
 実はですね、ブリンケン長官にヤング大使がこの16日の朝、私たちの書簡を届けてくださって、そこで拉致問題についてもお話をされたということを聞いていますが、その時ですね、実は先ほどのヤング大使と面会の時に拓也さんが書簡とは別にブルーリボンバッジ10個をお渡しになったのですね。多分それをブリンケン長官に渡したので、「じゃあ日本にいる間つけようか」とおっしゃってくださったんだと思っていましたが、長官は日本にいる間ずっとつけてくださいました。

◆「本当に心を動かされる書簡を受け取った」

 そしてブリンケン国務長官はこの記者会見でですね、このように発言されました。「ご存知の通り対北朝鮮方針は見直しがなされており、様々なこういったプレッシャーというものを適用できるのか、また外交的な道筋を取るべきなのかということで、同盟国などとともにそれを協議しています」。
 なかなか微妙なことを言ってるのですね。「プレッシャー」、つまり圧力ですね、圧力を適用できるのか、あるいは外交的な道筋をとるようになるのか、対話と圧力両方について言及されていて同盟国とも協議してる、と。そのために日本に来たということですね。
 我々は「先圧力後交渉」と言ってるのですけど、あの対北朝鮮方針の見直しを今、アメリカ政府がしているとのことです。そして「さらに前進させる上での共有の決意というものもあります。これは北朝鮮とって提示される驚異です。課題ということになります。とりわけこの核ミサイルプログラムがそうです。そして人権の侵害もあります」と言ってですね、その次ですね、「また私たちは非常に日本と共に団結をしており、拉致問題についても考えています。今日書簡を受け取りました。ご家族の方からの書簡です。本当に力強いものであり心を動かされる文面でした。それもやはり私どもの心の中にあります。北朝鮮による課題というものがが突きつけられているのです」という発言をされました。
 書簡について言及してくださったこともありがたかったです。またその後、あの民放のテレビ局とブリンケン国務長官は単独で会見をして、北朝鮮と交渉する時拉致問題を出すという風に明確におっしゃったということがありました。
 こういうことをアメリカには(コロナで)我々は行けないのですが、アメリカから政府高官が来てくださった時に、書簡を受け取っていただくことができた。それが記者会見で言及されたということは大変良かったというふうに思っています。
 これにあたってはですね、もちろん拉致対策本部を窓口にして相談したのですが、外務省の茂木大臣が積極的に動いてくださって、当初は国務長官本人との面会ができないかということで外務省が省をあげて、大臣が先頭に立って、大臣の判断もあってですねアレンジメントをしようとしてくださったと聞きます。
 そしてヤング大使も、その方向で調整できないかということでアメリカの国務省に投げて、国務省でも日程の調整をしたんですが、何にせよあの1日、実質的に1日しかいらっしゃらなかったですね。15日の夜いらっしゃって、16日の1日使って仕事して、17日に韓国に出発するということがあり、またコロナ禍で活動が制限されてるということもあってですね、今回は面会できなかったけども、ヤング大使から、「次の機会は必ず面会できるようにしたいと思います」という趣旨のお話も頂いていますけれども、茂木大臣をはじめ外務省には大変お世話になりました。もちろん拉致対策本部、加藤大臣をはじめ皆さんのおかげでこのようなことができたことを感謝申し上げておきます。

◆全被害者の即時一括帰国が解決の第一条件

 それでですね、私たちは書簡で何をバイデン政権に伝えたのか、ということについて説明したいと思います。これが書簡で、英文が正本ですが、これは日本語訳です。これを読ませて頂きます。そして少し解説をつけながらやります。
「私どもは北朝鮮による拉致の被害者家族の会(北朝鮮による拉致被害者家族連絡会)とその支援団体(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)です。今回、貴国の国務長官と国防長官が日米2プラス2会談を持つために東京にいらっしゃるということを聞き、人権問題である北朝鮮による日本人拉致問題についてこのように書面でご挨拶申し上げます」。
 拉致問題は人権問題という側面と主権問題という側面があるということをずっと我々は言ってきました。人権問題は普遍的なものであります。ですからアメリカにも協力を求めるということですし、世界中の拉致被害者家族とも連携していくということであります。
 一方、日本人を守る責任は日本政府にあるわけです。日本国民を守る、あるいは日本国の領土が侵されて日本国には連れて行かれたというのは主権侵害、これは日本政府の責務で解決する問題だということですけども、アメリカの国務長官には人権問題というアプローチで書簡を出したということです。ここでもう一度書簡に戻ります。
 「ここで私どもの拉致問題解決への基本的な立場をご説明申し上げます。我が国政府は拉致問題解決の条件として、1、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず全ての被害者の安全確保と即時帰国、2、拉致に関わる真相究明、3、拉致実行犯の引き渡し、の3つを挙げています」。
 これは日本政府の方針であります。むしろその1が緊急である。1、2、3同時じゃなくていいと、時差があってもいいとは思っています。しかし1は絶対に一括でなきゃならないと繰り返し申し上げてるとおりであります。
 「ここでいわれている我が国政府による拉致認定者とは2002年に帰国した拉致被害者5人と、その時一方的に「死亡した」と言われたが、偽死亡診断書や偽遺骨などが出され、死亡証拠が全て偽物だった8人、及び北朝鮮が拉致していないとした4人のことを指します」。
 帰国したのは蓮池さんたちですね。死亡だと言われて偽の証拠しか出てこなかったのが、めぐみさんや田口八重子さんたちですね。有本恵子もそうです。北朝鮮が拉致認定してないと言ってるけど日本政府が認定してる4人というのは曽我ひとみさんのお母さんのミヨシさん等ですね。
「それから残念ながら、証拠不足で我が国政府が認定できていない拉致被害者が存在することも間違いありません。」。
 残念ながらそれも何人かもわからないんです。本当は分からなくもないですけど、しかし日本政府は先ほど言ったように、認定の有無に関わらず全ての被害者の安全確保と即時一括帰国を求めているわけです。認定してない人も助けると言っているんですね。つまり認定してない人がいるということは前提なのが日本政府の解決の定義なのですが、私たちもそのように思っています。
「ですから我が国政府は8人と4人とそれ以外の方の3つのカテゴリーの全被害者の即時一括帰国を解決の第一条件に挙げているということであります」。

◆「後交渉」の段階に入ったから日朝首脳会談の実現を

「私どもはこの我が国政府の考えに基本的に賛成しています。2002年の小泉首相訪朝の際、北朝鮮が5人の被害者だけの拉致を認めて、それ以外の多数の拉致被害者については、13歳で拉致された横田めぐみさんら8人については『死亡した』、帰国した曽我ひとみさんのお母様の曽我ミヨシさんら4人の政府認定被害者とそれ以外の多数の未認定被害者については『拉致していない』などという嘘をついて、帰国させなかった前例がありますので、次の日朝交渉では全ての拉致被害者の一括帰国がなければならないと考えています」。繰り返し私達が言ってることです。
「北朝鮮は強い圧力がかかった時だけに交渉の場に出てきます。これは私たちが数十年間拉致被害者救出運動をしてきて体験した経験則です」。
 今アメリカが政策を再点検してる時にですね、先ほどもブリンケン国務長官の発言でもですね、プレッシャーをどうするか。そして外交的にどうするかの二つ触れられて、それを再検討してるとおっしゃいましたけど、私たちの体験から言うと「強い圧力が先にかからないことには始まりませんよ。今関わった圧力を緩めてはいけませんよ」、という事をここに込めました。
これは私たちが数十年間拉致被害者救出運動してきて体験した経験則です。
「現在、厳しい経済制裁が北朝鮮にかけられています。北朝鮮はなんとかして制裁を緩和させ、外部からの経済支援を得ようとさまざまな動きを見せてきました。しかし残念ながら、日朝交渉は表向き進展がありません」。
 強い制裁がかかったのが2016年、17年です。特に17年の12月の国連安保理理事会の制裁決議で本当に厳しい制裁がかかった。そうしたら18年から南北対話が始まり米朝対話が始まったのですね。
「先圧力」をかけたら北朝鮮が交渉の場に出てきました。しかし残念ながら、日朝は始まらなかった、ということをここで申し上げました。
「安倍前政権と同じく菅義偉政権は拉致問題を国政の最重要課題として、北朝鮮に対して条件をつけない日朝首脳会談を提案し続け、そこで拉致問題解決を北朝鮮の最高首脳に迫る方針です。また、拉致問題をはじめとする懸案が解決すれば我が国は北朝鮮に対して、過去の清算を行って経済支援をする準備があることも表明しています」。
 この菅政権の方針について、「私どもはこの菅政権の方針を支持し、北朝鮮被害者の即時一括帰国が実現するなら帰国した拉致被害者から秘密を聞き出して日朝国交正常化に反対することはしない」というメッセージを繰り返し送っています。
 ここまでですね。我々の基本的な立場は。拉致問題の解決の定義は何なのか。そしてそのために当面求めていることは「先圧力後交渉」で、「後交渉」の段階に入ったから菅総理と金正恩総書記との首脳会談が実現してほしい、と。
 そしてそこで菅総理が金正恩氏に対して、全員被害者の即時一括帰国を求めてほしいです。そしてそれが実現するなら我々は北朝鮮が一番気にしている、生きてるのに死んだと言わざる得なかった背景にある秘密という問題についてですね、「秘密を引き出して反北朝鮮活動はしませんよ」と。家族会・救う会は全員帰って来れば解散するので、「日朝国交正常化には反対しませんよ」というメッセージをを繰り返し送っています。

◆即時一括帰国が実現するまで安易に制裁を緩めないで

そしてアメリカの求める事であります。ここまでは説明ですね。そして最後に求めるところですが、
「人権・自由・法の支配を重んじる米国バイデン政権におかれましても」としたのは、前の政権にもお世話になったということを踏まえていますけども、
「以上のような、拉致問題を巡る私どもの考えをぜひご理解頂きたい」とありますが、解決ということはみんな言うんですが、解決の定義についていろんな考えがあるわけです。あるいは解決のため北朝鮮に何を求めるかということもいろんな考えがありますね。
 日本の中でも拉致問題は長くかかるから、「日朝合同調査委員会を作るべきだ」とか、そして、「平壌と東京に連絡事務所をおいて長く調査しよう」、「一部の人を先に受け取ってもいいじゃないか」という意見があります。私たちは即時一括帰国しかダメだと言ってるんです。そしてその方法は菅総理の訪朝だと言ってるのです。
 議員外交という人たちもいますが、私たちはそうではなくて菅総理の訪朝が今求められており、今の時期に一番必要なのは菅総理の訪朝だということを言っていて、そのような私たちの考えを理解してほしい、と。
 そして対北交渉においては、「わが国政府と緊密な連携を維持してほしい」。菅政権の方針は、「条件をつけずに金正恩委員長と向き合う」ですから、そのことについて、是非緊密な連携を取ってほしいということであります。
 そして、全被害者の即時一括帰国実現のために尽力して頂きたいということです。「特に全拉致被害者の即時一括帰国が実現するまで安易に制裁を緩めることがないように強くお願いする次第です」と。
 制裁を緩めないでください。そして菅政権が条件なしに金正恩と会うと言っていることをサポートしてください、ということであります。もうアメリカに直接金正恩政権に働きかけてもらう段階は過ぎたということで、北朝鮮のような国では下からあげてもトップのとこに正しい情報があがらないということあるので、直接拉致問題の大切さ、拉致問題に対する日本の考え方を伝える必要はあったのですが、それはトランプ大統領が金正恩氏との会談でやってくれたので、それを踏まえて安倍総理も菅総理も「条件なしの首脳会談と」言ってるので、アメリカに求めることは、拉致問題を米朝会談の議題にしてくださることいいことですけど、
 議題にして、「早く菅総理と会いなさい」ということを言ってほしい。「これは同盟国日本の最優先課題で、主権に関わることだ」と。
 日本の総理大臣は無条件で会うと言ってるということを是非側面から支えてほしい。そして制裁を緩めないでほしい。菅総理の首脳会談をサポートしてほしいと。
 その二つのことをお願いするために、私たちの拉致問題への考え方、そして菅政権の拉致問題解決の定義と今考えている解決方法について、このタイミングで説明させていただいたということであります。
 担当者が変わった段階でありますから、この手紙を出せたことは大変意義があると思いますし、それについてブリンケン長官が、「この書簡を受け取った。家族の方々の書簡だ。ほんとに力強いものであり、心を動かされる文面でした」と言ってくださった。
「私たちが何を考えるかを理解してサポートしてくださる」と言ってくださったというふうに私たちは感じましたので、大変感謝しております。
 今日は、「ブリンケン国務長官への書簡伝達、バイデン政権へ何を求めたのか」と題してお送りしました。
 ありがとうございました。

以上


  
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