救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

第2部 世界に広がる拉致被害と救出運動(2)



北朝鮮の文書から見る朝鮮戦争拉北事件



(社)朝鮮戦争拉北者人士家族協議会
理事長 李美一(イ・ミイル)

1.朝鮮戦争拉北事件の発生の源
(1)  光復後から朝鮮戦争勃発前までの朝鮮半島の状況

   北朝鮮は素早く社会主義体制を構築し、私有財産の没収及び地主階級∙宗教人∙親日派の粛清を断行した。その結果、粛清の対象になっていたほとんどの人達、知識人及び指導人士らをはじめとする約300万人の北朝鮮の住民らが韓国に避難してくるようになり、北朝鮮は人材空白状態になった。

(2)  体表的な(代表的なか?)拉北の源を立証する北朝鮮の文書資料
? 『金日成全集4巻』<韓国から知識人らを連れてくることについて>
1946年7月31日付 談話文


文書の意味:知識人らの拉北を立証する文書



〞当面の知識人の不足問題を解決するためには北朝鮮にいる知識人らを全員見つける一方、韓国にいる知識人らを連れて来るべきである。〞

<北朝鮮内の知識人の不足の原因>
北朝鮮が社会主義体制を確立することにより、知識人階層に属していた地主階級、宗教人、親日派などが北朝鮮の重要な粛清の対象になっていたため、この粛清を避け大勢の北朝鮮の知識人らが韓国に来たからである。北朝鮮は朝鮮戦争が起きる前から韓国の知識人らに接近し、当時、北朝鮮の貨幣がまだ通用されていたので北朝鮮の住民らから没収した貨幣で懐柔したが、あまり成果はなかった。朝鮮戦争の前に、韓国の知識人らがそれに同調しなかった理由は、北朝鮮から避難してきた数百万人の住民らに北朝鮮の実情を聞いたからである。


? ロシアの機密文書<北朝鮮軍事委員会決定事項第18号> 1950年7月17日付
     (北朝鮮の文書をロシア語で翻訳した文書)


     文書の意味:技術者及び労働者などの拉北を立証する文書



ソウルの困難な食糧事情を解決するため、軍事委員会は次のように決定する。
(中略)
ソウル市臨時人民委員長は各部各庁の要求に応じ北朝鮮の農業及び産業の現場に50万人を後送するようにする。〞

<ソウルの食糧不足の原因>

時期的に食糧が乏しい時であることもあるが、北朝鮮がソウルを占領した直後である6月29日から家毎に食糧保有量を調査した。数日後、飢えている人と分け合って食べていたら1週間後からは食糧配給があると言い、何日分の食糧だけを残し、全ての食糧を奪い去ったが、9月28日、ソウルを修復したまでの北朝鮮の食糧配給はなかった。
意味不明


?『北朝鮮関係資料集16』<ソウル市民転出事業に関する協調事について>
    江原内第3440号1950年9月5日付(北朝鮮の文書)


    文書の意味:上記の<北朝鮮軍事委員会の決定事項第18号>に載っているソウル市民50万人後送の指示が、実際に、なお強制的に、労働が可能な者だけを選別し執行されたことを立証する文書。





注1:歴史の前で(ある史学者の朝鮮戦争日記)-金聖七(キム∙ソンチル)著 pp72、95、96

〞(殖民支配から)解放されたソウル市民(労働者)らを工場、鉱山、企業への就職を斡旋するために共和国の北側に転出する事業が各関係部分で執行されているところ
(中略)
…募集者の中で逃亡者がいる際、逮捕せよ〞(強制性を帯びた拉北であったことを立証)
    〞転出される世帯において労働者がいない家族は北側への転出を厳禁する。〞(労働が可能な者だけを選別し拉北する結果になる)

? 漣川駐在地 事業報告書 1949年8月5日付(北朝鮮の文書)

 文書の意味:北朝鮮の拉致が組織的に実行されたことを立証する文書





?49.8.5 事業報告 敵陣に浸透して、進歩的な人士らを糾合し反動分子を分裂∙和解させ、なお、拉致することによって国土完整(南北統一)の決定的役割を果たす任務。〞



<参考資料:米国務部文書>
 『南北関係資料集16』 東京の駐日米国大使館がソウルの状況について本国へ報告した書簡 1950.10.11日付


文書の意味:9月28日、ソウル修復直後、拉北当時に実状を最初に把握し、簡潔に記録した文書であり、韓国内での拉致経路と形態、拉致被害者の職業及び人数などが言及されている。





〞1950年9月17日から28日の間に、刑務所に収監されていたり、抑留·監視されていた1万人以上、少なくとも2万人の政治犯らがソウルからいなくなった。(中略)
 占領最後の何日間に、北朝鮮は共産党の命令にしたがい韓国に忠誠心を持っていた音楽家、牧師、公務員、事業家などの人達と武器の運送ができる青年らを北朝鮮へ転出することに没頭した 〞





2.拉致の目的
 
 一つ目、北朝鮮内の不足する知識層の人士を補い、戦後の再建に必要な技術者及び労働者、戦争を遂行する人材を調達し、
二つ目、韓国内で指導層らと知識層の人士らの不足による混乱を惹起し、人材不足により戦後の復興を困難にさせることで、再び韓国を赤化しやすい環境を造成することと、
三つ目、拉北を自発的入国と偽装し、政治体制の優位を宣伝することに、
その目的があった。

3.朝鮮戦争拉北事件の犯罪性と現在性

 戦争中には不特定多数の一般民間人が偶発的に死亡したり負傷したりするなどの被害を受ける。このような被害は、戦争という特殊な状況下にあるため、不可抗力によることであると思われる。
 
しかし、戦争拉致の場合は、上記で提示した文書資料から確認した通り、事前に計画を立て戦争という特殊な状況を利用し、戦争の勃発と同時に占領した南側(韓国)から必要とされていた人材だけを選別し組織的に拉致した戦争犯罪であることが明らかになっている。
 なお、拉北という犯罪行為が過去のことであるとは言われるが、北朝鮮側はいまだに拉北者の生死さえ家族に知らせていないままであり、現在もその家族らは苦しみの時間を過ごしている。

4.解決方案

(1) 至急実態把握と関連法の制定
?実態を把握し、北朝鮮に送る現在の名簿を作成
?真相究明と名誉回復などのための関連法を制定
   
(2) 北朝鮮に対する経済支援と今後の朝鮮戦争の終戦及び平和体制の交渉が進む場合、次のような戦争拉北者の問題を先決条件として提示
 ?朝鮮戦争の際、行われた拉致の事実に対する北朝鮮の認定と謝罪
 ?戦争拉北者の生死の確認及び書信の交換
 ?遺骸及び生存者の送還



5.結論

米国と国連は停戦協定の当事者であった。停戦交渉の場で北朝鮮は韓国の一般民間人の拉致事実を一切否定し、これにより停戦に急がれていた国連軍は成果を得ることができなかった。
これから北朝鮮と朝鮮戦争の終戦及び平和体制をめぐって交渉をするのであれば、最優先すべきことは、韓国はもちろん、米国と国連が北朝鮮に朝鮮戦争を起こした責任を問い、戦争拉北車問題を提示し、必ず最優先に解決するように交渉すべきである。

北朝鮮が戦争の際、犯した拉致犯罪に対する正当な解決なしに結ばれる平和協定は欺瞞である。このような偽りの平和協定は世界中の人類の自由と真の平和の暮らしの達成に害を及ぼすだろう。拉北された被害者が家族のもとに帰ってくる日に朝鮮半島の真の意味の終戦と平和が実現できることを信じながら、一日も早くその日がやってくることを望む。

  
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