救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

国際会議「北朝鮮による国際的拉致の全貌と解決策」全記録




タイ人とマカオ人は同時拉致、混血児を在外米軍基地を狙う工作員に



島田洋一救う会副会長解説


ジェンキンスさんを含め、自ら北に渡った4人の脱走米兵が同じアパートに住んでいた時期がかなり長く、またこの4人の全員が拉致被害者と結婚していました。女性の拉致被害者の国籍は、タイ、レバノン、ルーマニア、そして日本の曽我ひとみさんです。

その内、タイ人のアノーチャーさんのケースについては、ジェンキンスさんが拉致の詳しい経緯を語ってくれました。アノーチャーさんが乗せられた船に、他に2人の女性が乗せられていたということでしたが、この2人が、崔銀姫さんの話しにあったマカオ人の拉致被害者で、同じ時期に失踪した孔令イン(貝二つの下に言=Hong Leng-ieng)、蘇妙珍(So Mio-chun)さんだと思われます。

当時のマカオはポルトガルの植民地でしたが今は中国領です。彼女らは今は中国国籍であり、家族ももちろん中国籍です。崔銀姫さんの証言にあったマカオの2人と、アノーチャーさんが同時に拉致されたことを裏付ける証言が、今のジェンキンスさんの回想の中にも出てきたわけです。

レバノン人拉致被害者が4人います。この4人は本国に帰ることができました。但し、そのうちの1人、シハームさんは米兵の子どもをみごもっていたため、もう一度北朝鮮に戻り、夫の米兵の死後もなお男の子3人と北朝鮮に住まわされ続けています。シハームさんのお母さんが2005年日本に来られ、「シハームと何度か会ったけれど私よりふけて見えた。泣いてばかりいた」と証言していました。

レバノン人女性たちが本国に帰ることができた経緯に関して不明な部分が多かったのですが、ジェンキンスさんの証言の中で、拉致被害者の一人の関係者として駐クウェートのレバノン大使がおり、その大使がいつ北朝鮮に赴任してくるか分からないことを北朝鮮側が気にしたのではないかという話がありました。あるいはレバノン政府が北朝鮮側と掛け合った経緯があったのかもしれませんので、そのあたりの事情をレバノン政府から日本政府が聞いていただければ救出に当たって参考になると思います。

ルーマニア人拉致被害者で、米兵と結婚したドナさんのお母さんはロシア人だとジェンキンスさんが本(『告白』角川書店)に書いていますが、お母さんについては、今回のジェンキンス証言によれば、何も聞かなかったということです。しかし、お父さんについては、本に出ていない部分もあり、軍の大佐であったとか、上官とトラブルがあった等の情報が出てきましたので、これもルーマニア政府において、本人特定の手がかりになると思います。

時間の関係でカットしましたが、ジェンキンスさんが強調していた点で、自分たちの子どもたちはみんな混血児で、ヨーロッパ風の顔をしていたり、中東風の顔をしている子どもたちが生まれてきたわけです。北朝鮮当局が、ジェンキンスさんに対して、「お前の子どもを平壌外語大学に入れろ」と言ってきた。その時に、ジェンキンスさんは、自分たちの子どもを工作員にするつもりだと直観したということを本でも若干書いていますが、このインタビューでも強調していました。

西洋風の顔をした北朝鮮のエージェントがいるなんて誰も想像もしないだろうから、特に在外米軍基地を狙う工作員として、自分たちの子どもを養成しようとしたのではないか。特に、北朝鮮の当局者は、「女の子をもっと産め」、「女の子こそが真の革命家になる」という言い方をしたそうです。革命家というのは北朝鮮ではすなわち工作員のことだとジェンキンスさんは述べています。ちなみに、大韓航空機爆破事件の金賢姫も、平壌外国語大学在学中に、工作員としてピックアップされています。

最後にジェンキンスさんが、「横田めぐみさんの夫とされる金英男さんを、北にいる家族共々、インドネシアのような第三国に出させろ。そしたら自分の経験からも断言できるが、彼らは絶対に北朝鮮に帰るとは言わない。但し、その第三国は中国であってはならない。中国は信用できない。自国民の拉致被害者のことを何とも思っていない政権だ」と言っていました。

一言追加ですが、中国もロシアも賛成し全会一致で通った「イラクに関する国連安保理制裁決議1441号(2002年11月8日)には、イラクの大量破壊兵器開発、生産に携わったイラク人科学者を家族共々第三国に出させ、事情聴取を受けさせることをイラク政府は認めろ、という規定があります。従って、拉致被害者に関する情報を持っている人間を、家族共々第三国に出せという要求を日本政府が出しても、何ら国際常識に反することにはならない。例えば金英男さんもそうですし、拉致被害者の監視役が誰かということは蓮池さんや地村さんに聞けば分かります。そうしたこともジェンキンスさんの話を聞きながら感じました。

  
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