国際会議「北朝鮮による国際的拉致の全貌と解決策」全記録
最重要課題として拉致問題に取組む
安倍晋三 内閣総理大臣
本日、拉致問題を考える国民の集いを開催をいたしましたところ、拉致被害者御家族の皆様、そして、タイ、韓国の拉致被害者の御家族の皆様に御臨席をいただき、また、多くの国民の皆様にも御出席をいただきましたことを、まずもって御礼を申し上げる次第であります。
北朝鮮による拉致は未曾有の国家的犯罪であります。私は内閣総理大臣として国民の生命、身体、財産を守るという大きな責務があるわけであります。そしてその責務は最も重要な責務であります。そうである以上、この拉致問題において決して譲ることはできません。そして必ず解決をしなければならない問題であると考えています。拉致問題の解決なくして国交正常化なしとの原則は、私が総理大臣である限り、必ず守っていくということは、お約束を申し上げたいと思う次第であります。
私が初めて拉致問題を知ったのは、まだ父の秘書を務めている頃でありました。有本恵子さんの御両親が、事務所を訪ねてこられまして、どうやら娘は北朝鮮によって拉致をされたらしいけれども何とかならないでしょうか、という話でありました。
それ以来、この問題に取り組んできたわけでありますが、2002年に小泉総理が訪朝されました。その結果、5人の被害者の方々が20数年ぶりに帰国を果たすことができました。そしてこれを待ち望んでいた御家族の皆様と感激の再会を果たされたわけであります。何とかこの感激を今日ここに御出席の被害者の御家族の皆様にもそして全国で心配をしている多くの御家族の皆様、何よりも救出を待っている被害者の皆様にも味わっていただきたい。この感激を味わっていただきたいとの思いで問題に取り組んでまいったところでございます。1977年9月19日に久米裕さんが拉致をされました。その後松本京子さん、横田めぐみさん、田中実さん、田口八重子さん、市川修一さん、増元るみ子さん、曽我ミヨシさん、石岡亨さん、松木薫さん、原敕晁さん、そして有本恵子さんが相次いで拉致をされました。そしてそれ以外にも拉致をされた方々がいるかもしれません。こうした方々の全ての救出を目指していくことが私たちに課せられた使命であります。全ての拉致被害者の帰国があってはじめて拉致問題は解決されたと言えるわけであります。
私は総理大臣に就任をし、拉致問題対策本部の本部長に自ら就きました。そして塩崎官房長官を担当の大臣に指名致しました。そして皆様御承知のように中山恭子さんに担当の補佐官になっていただいたわけであります。そして現在、国際社会においてこの拉致問題に対する理解を深めていただくために努力を致しております。
先般のAPECの首脳会合においても拉致問題の解決の重要性について訴え、そして全ての首脳の方々から御理解をいただけたと思います。また、私は首脳会談を行うたびに拉致問題の存在、そしてこの問題を解決をしなければならないその重要性について訴えている次第であります。段々と世界の国々においての理解とそして北朝鮮に対する国際社会の圧力は高まってきていると思います。
本年(平成18年)、北朝鮮はミサイルを発射し、そしてまた核実験を強行いたしました。そうした暴挙に対して我が国は制裁措置を行いました。ミサイル発射の際の制裁措置に対して、私は、これはミサイルに対しての制裁と同時に拉致問題に対して誠意ある対応をとっていないことに対する日本の意思表示であるということも申し上げた次第であります。北朝鮮には、核、ミサイル、そして拉致問題を解決をしなければ、決して国際社会から受け入れられることがないということを認識してもらわなければならないと思っております。
被害者の御家族の皆様方もだんだん歳を重ねておられます。一日も早くこの問題を我々は解決をしていかなければなりません。私の内閣におきまして、最重要課題として全力を持ってこの問題に取り組んでまいりますことをお誓いを申し上げる次第でございます。
どうか御来場の皆様方、また、国民の皆様の御理解と御支援の程をお願いを申し上げまして御挨拶とさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。