救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

国際会議「北朝鮮による国際的拉致の全貌と解決策」全記録




救出作戦シュミレーションを



古屋圭司・拉致議連事務局長(自民党)


 北朝鮮による拉致をテーマにしたこういった大規模な国際会議が政府の支援を得て行われるには初めてのことであり、大きな意義があると思います。北朝鮮による拉致被害は12か国に及んでいますから、これは国際社会にアピールしていく大きなきっかけになっていくと思います。

 今、拉致議連は超党派で構成されており、衆参両院議員が240名参加しています。正式名称は、「北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟」です。あくまでも被害者の側に立って、政府の対応が生ぬるければ厳しい要求をつきつけていくということが拉致議連の大きな役割です。

 2006年は、4月、家族会、救う会の代表者とともに訪米し、横田早紀江さんはブッシュ大統領と歴史的な面会を果しました。アメリカでは拉致被害者は一人も判明していませんが、そのアメリカが、ブッシュ大統領自身が面会してくれたというのは非常に大きいと思います。相前後して面会したNSCのクラウチ補佐官は、拉致問題を絶対置き去りにしない、原理原則をしっかり守るとはっきり強調していました。アメリカは拉致問題にしっかり参戦してきているなという感じを持ちました。

 7月のミサイル発射、10月の核実験の際には、我々として緊急決議をして役員会、総会をして政府に申し入れをしました。対話と圧力という中で、対話をしていても埒が明かない。これはいよいよ圧力だ、こういうことをやったことによって、もはや日朝平壌宣言は守られていない。厳しい圧力をかけるべしという内容のものです。7月には万景峰号をすぐ止めてもらいましたし、また安倍総理になって拉致対策本部ができ、全閣僚がメンバー、中山さんも首相補佐官として参画され、最強の布陣だと思います。そのかいあってか北朝鮮籍船舶の入港禁止等々の制裁措置を矢継ぎ早に決定していただいているということも議員連盟としては、我々の主張を行動に移していただいたということで評価しています。

 これに加えて政府に要請している点がいくつかありますので申し上げます。

 まず一点は、政府認定の拉致被害者は松本京子さんが認定されて17名ですけれども、特定失踪者としての460名のリストがあります。我々は拉致被害者全員の帰国を目指していますので特定失踪者について速やかに認定に向けて作業を開始してほしいということです。政府が認定するかしないかで天と地の差があります。11月には、特定失踪者調査会の代表が拉致議連だけでなく官房長官にも会ってその要請をしています。

 もう一点、我々が要請しているのは、金正日体制が近い将来崩壊することも考えられます。そうなった時、拉致被害者をいかに救出して国内に無事安全に取り戻すということについてのシュミレーションを政府として真剣に考えてほしいということを申し上げてあります。

 その他の活動としては、11月に『めぐみ─引き裂かれた家族の30年』という映画を国会の中の講堂で、国会開闢以来初めて国会の中で映画を上映しました。国会議員、秘書、国会関係者に見てもらい、大きな成果がありました。

 さらに、この問題は国際協調が大事なので、EUの中の国々との議員連盟がたくさんあります。EUの中には北朝鮮と外交関係を結んでいる国が多いので、そういう議員連盟と我々拉致議連と共通の価値観をもって取り組んでいくという働きかけも始めたところです。今年はこれをしっかりやっていきたいと思っています。

 要望は、6者協議が始まると聞いていますが、この場でしっかり拉致問題の早期解決の重要性を徹底的に主張していただきたいということを私たち拉致議連からもお願いしておきます。

 中国、ロシアが北朝鮮人権非難決議に2005年も2006年も反対していることは非常に残念です。ただ、日中首脳会談で安倍首相と胡錦濤首相との間で、拉致問題については中国は協力をするという趣旨のことが入っていますので、我々はそれを根拠に何としてでも中国の拉致問題への協力を引き出していくために、政府、拉致議連あらゆるチャンネルでその取り組みをしていく必要があると考えています。

 拉致問題の解決策ということですけども、一言で言って金正日を追放することが解決につながります。残念ながら日本政府は泥棒に追い銭のようなことをずっとしてきました。これは我々立法府の者として大いに反省すべきです。考えてみると、拉致議連が立ち上がったときは、政府が米を支援するなど、そのやり方が非常に生ぬるい状況でした。そういう時に拉致議連の役割は非常に大きかったと思います。

 しかし安倍政権になってから大きく変わってきていると思います。先に述べたように政府拉致対策本部ができ、これ以上に強い政府の体制はないわけで、今この時期に拉致問題が解決できなければ、海外の状況を見てもブッシュ大統領の任期はあと2年ですから、時間は非常に短いと思っています。だからこそ政府はこの時期に全神経を集中して、全身全霊を傾けて拉致問題の解決に当たってほしい。

 そして何と言っても、6か国協議は両刃に剣だと思いますが、6か国協議が開催されると決まった以上は、核、ミサイル問題の次に拉致問題が来る。各国によって温度差があるのは事実ですが、そこを何としても会談の中で拉致問題を同列に扱わせて一歩も引き下がらない。特に中国、ロシア両国に粘り強い、迫力のある交渉を是非していただきたい。これまで拉致問題を軽視してきた付けが今来ているわけです。その付けをしっかり払っていただくためにもそういう対応をしていただきたいということが我々拉致議連としての考え方であり、今までも一貫してそういう要望をしてきました。

 たとえ北朝鮮がこれ以上の核はつくらないからこれぐらいにしてくださいと言うのに対して中国、ロシア、それにアメリカまでもが同意して、核拡散がないからいいというようなシナリオは最悪のシナリオです。ですから、こういう対応が間違っても起こらないようにしていただきたいということを強く政府に要請したいと思います。

 金正日は瀬戸際外交をしていますが、彼は非常に計算高い、ずるがしこい男ですから、自暴自棄になるようなことは絶対ありえないと思います。場合によってはどこかの国に逃げて亡命してしまうということがあり得るわけですから、そうなった時の、つまり金正日体制が崩壊した後、いかにして拉致された日本人全員、特定失踪者も加えると何百人の人たちをいかにして安全に日本に戻して自らの郷土を自らの足で踏んでいただけるようなシュミレーションを徹底的に考えていくべきです。これは民主党の要望に出ていますけれども、こういうことは民主党であっても自民党であっても、拉致議連である以上、考え方は同じですから徹底していただきたいということを政府に要望していきます。

 中国は、北朝鮮非難決議に反対しました。ロシアも反対しました。これは非常に懸念事項です。こういったことがある以上、安倍総理は2006年10月に中国の胡錦濤主席と首脳会談を行い、拉致問題についても協力するという言質をとったわけですから、これを金科玉条として中国を徹底的に追い込んでいくことも不可欠だと思います。

 一方、韓国では本日参加して下さった宋英仙議員のように活動していただける方がほんの一握りしかいないというのは非常に残念です。宋先生のような方があと10人、20人と増えてきたら大きく韓国の流れも変わってくると思います。我々拉致議連として何か応援できないか、今、宋先生と具体的に相談しています。そういうことは国を超えて連携していきたいと思っています。

 もう一点、EUとの連携も大切だと思います。EUとの友好議員連盟が日本の国会にたくさんあります。幹部にそういう認識がありませんので、その議連幹部や大使に働きかけて、EUと連携できる組織を拉致議連主導で早急につくりあげていきたいと思っていますので、民主党の中井先生にもご協力をいただきますようにお願いします。

  
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