?.北朝鮮の食糧生産統計
6.北朝鮮の1日一人当たり食糧は江戸時代より3割少ない
ちなみに、国連機関の報告では、北朝鮮の2011/12年度の食糧生産は465.7万トン。これは近年では多い生産量である。穀物に計上しているじゃが芋45.7万トンを除くと420万トンになる。これを人口2457万人で割ると、1日一人当たり468g。
食が多様化した現代日本人はコメを年間約60kg弱しか食べなくなったが、江戸時代の1800年頃、食糧生産が増えて日本の人口が3000万人を超え、当時のコメの生産量は籾付きで3000万石(450万トン)程度であった。一人当たり1石(150kg)となる。これは1日一人当たり410gで玄米なら約270g(当時の玄米重66%で換算)である。
農民が作っていた穀物は、米が7割、残りが麦と雑穀半々なので、雑穀も含めると1日一人当たり386g。当時は、精米にすると大変な労力がかかること、精米だけ食べると脚気になることもあり、精米は特別の日だけ食べ、日常的には玄米と雑穀を混ぜて食べていたので玄米重で計算した。
国連機関の報告による北朝鮮の一人当たり穀物468gは江戸時代の386gより2割程多いが、実際の生産量が国連機関の報告より200万トン少ないとすれば約245gになり、さらに人口が国連報告より300万人少ないとすれば、約279gになる。穀物だけを比較すると、これは江戸時代386gの72%程度で、約3割も少ない量になる。
国連機関の水増し報告と比較してもこの程度になる。この数値は、北朝鮮から聞こえてくる様々な食糧不足の悲鳴に相応するのではないか。
目次
報告概要
I.北朝鮮の食糧生産統計
1.毎年の調査基準が全く異なる国連機関の食糧生産統計
2.コメは100万トン水増し
3.メイズも100万トン水増し
4.国際社会が実態を誤解
5.不足しているから聞こえてくる悲鳴
6.北朝鮮の1日一人当たり食糧は江戸時代より3割少ない
II.北朝鮮の人口統計
1.不可解な国連機関の人口増加率訂正
2.おかしな報告の数々?北朝鮮人口調査
3.人口は300万人水増し
III.水増し統計を発表し続ける理由
1.個人独裁の責任が問われる
2.搾取と抵抗の朝鮮史
3.人口の水増しで国際支援を訴え
4.統計のからくりも限界に
5.国連支援機関の問題点
6.独裁国家への「人道支援」は非人道
7.国連は家族農業を認めない国家には人道支援を行うな